【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
私は目を見開いた。

「…なぜ、知ってるんですか?
私の名前の由来を…。」

咲輝翔さんに話した事はないし

満君にも確か話してない。

すると

「…それも、社食での会話を聞いた。
他人の会話を盗み聞きする趣味はないが
羽美花の話は特別だった。
…素敵な由来だと思ったし
羽美花は名前を裏切ってない。
可愛らしくて、美しくて、優しくて…。
…出会えて良かった。」

そう言って

彼は触れるだけのキスをした。

ほんのり紅くなる私に

「…そのネックレスと指輪。
俺の中学時代の友人の作品だ。
父親の会社を手伝いながら
『Dear Lovely Angels
(親愛なる可愛い天使達)』って
ブランド名で
ジュエリーデザイナーもやっている。」

『Dear Lovely Angels』!?

何だか、聞き覚えがあるブランド名。

「…あっ、知ってます!確か…。
守谷翔大(もりたに しょうだい)さん
ですよね?」

「…知ってたのか?…そうだ。」

彼は頷いた。


雑誌でも取り上げられるようになった

二足の草鞋を履く人気上昇中の

イケメンカリスマ

ジュエリーデザイナーだとか…。

「…その守谷さんが
咲輝翔さんの友人なんですか!?」

凄いと驚く私に

「…ああ。守谷は最初
ビルのテナントでやってたけど
ネット販売や口コミで広まって
オーダー注文が増えて
店も手狭になったとかで
思い切って、あのショッピングモールに移転すると、前々から話は聞いてた。」

「…そうなんですか!」

「…ああ。それで、出店祝い送ったら
お返しとカタログが送られてきた。
アクセサリーをあげる予定もないけど
義理で一応目を通してたら
『極秘…新作予定』と
追加で挟んであったページの中に
そのネックレスと指輪があった。」

彼は私を眺めながら

「…羽美花の名前の由来と同じで
凄く気にはなっていた。
だから、その…守谷に昨日電話して
確保しといて貰った。
…だから、今日どうしても
あのショッピングモールへ
行きたかったし、別行動をした。
…だけど、その事で羽美花が
アイツ達と鉢合わせしてしまって
結果的に嫌な想いをさせて
プレゼントするタイミングまで
遅らせてしまった…ごめんな。」

そう言って彼は

私の指輪にそっとキスを落とした。



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