赤い流れ星
side シュウ




「じゃあ、気を付けてな!」

「うん。行って来るね!」



昨夜はどうなることかと思ったけど、今日のひかりはいつも通りに戻っていたからほっとした。
バスに乗り込んだひかりを見送り、俺は家に戻った。
和彦さんは、結局、昨夜は戻らなかった。
ここのところ、俺についてあれこれ調べてるらしかったが、どんなに調べてもこの世に俺に関する情報はみつからない。
和彦さんにそのことを理解してもらえたら、俺としてもありがたいから、好きなだけ調べて下さいと言っておいた。



それは良いとしても、問題はひかりのことだ。
まさかあんなことで、あれほど大きな反応を見せるとは考えてもみなかった。
でも…ちょっと刺激は大きかったかもしれないけど、俺達の関係は少し進展したんだから、まぁ、良かったとするか。



(でも、これから先はもっと長い時間がかかりそうだな…)

俺は、家に戻る道すがら、そんなことを考えては一人失笑した。








「ただいま!」

夕方になり、家の前で車のドアが閉まる音がして、それからすぐに和彦さんの声が聞こえた。



「お帰りなさい。」

「はい、これ。」

和彦さんは俺に大きな紙袋を差し出した。



「なんですか、これ?」

「たいしたもんじゃないけど、衣類とかちょっとしたもんだ。」

「あ…ありがとうございます。」

旅行の間にも下着やちょっとしたものを買ってもらったのに、またなにかもらってしまった。
ありがたいけど、少し気がひけてしまう。



「美幸はまだバイトなんだな。
……俺がいない間、美幸におかしなことしなかっただろうな。」

「……それが…実は……」

「な、なんだと!や、やったのか!?」

和彦さんの表情が一瞬にして険しいものに変わった。
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