馬車は次々と門を通過し、後宮の黄金の門に繋がる回廊で静かに停まった。

ここからは徒歩になる。

窓の外に目を向けたリゼの顔は直ぐに明るく輝いた。

(クラウス……)

馬車のドアが開くと直ぐに、リゼは地上に降り立った。

そして、黄金の門の前に立つクラウスの元に、引き寄せられる様に急ぎ歩き始めた。


クラウスと共に七ノ宮に着いたリゼを、ソフィアとメイをはじめとした大勢の女官達が出迎えてくれた。

「リゼ様、お帰りなさいませ」

ソフィアが皆を代表して頭を下げながら言った。

「みんな……ただいま」

皆の顔を見ていると、七ノ宮に戻って来た事を実感する。

ソフィアに続いて、メイが今にも泣き出しそうな顔をして言った。

「リゼ様、お身体はもう大丈夫なのですか?」

「もうすっかり良くなったわ。心配かけてごめんなさい」

「良かった……ラドナの毒だと聞いて、もう駄目かと……」

声を震わすメイに、ソフィアは厳しい口調で言った。

「メイ、控えなさい。無礼ですよ」

「あっ、申し訳ありません」

叱られて小さくなるメイを見て、クラウスが助け舟を出す様に言った。

「リゼはもう大丈夫だから心配はいらない。だが今後も油断せずに警戒を強めてくれ」

「は、はい。かしこまりました」

メイは恐縮した様に言い、平伏した。

クラウスは頷くとメイの後ろに控える、見覚えの無い数人の女官に目を向けた。

「……」

クラウスは複雑そうな顔をしながらも、何かを言う事はなく、リゼの身体に手を回し居間へと促した。

この作品のキーワード
異世界  後宮  恋愛  ファンタジー  愛憎 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。