テオの醸し出す圧倒的な威圧感の為か、その場に居る誰もが身動き出来なくなった。

カイすらも顔色を変えてテオを凝視している。

テオは呆然とするリゼに近付くと、僅かに表情を和らげた。

「ラフィン殿の止血をしてやれ」

カイの存在を気にとめていない様なその言葉に、リゼは戸惑いながら言った。

「でも、カイが……」

「心配ない。彼の相手は私がする」

テオはそう言いながら、腰に提げていた剣を抜きカイに向き直った。

「以前会った時とは人が変わった様だな」

余裕すら感じるテオの態度に、カイは苛立った様に言った。

「邪魔をするな! そこを退かないならお前も切る」

カイに剣を突きつけられたテオは、薄い笑いを浮かべながら言った。

「お前に私の相手は無理だ」

それからリゼに目を向けると、落ち着き払った口調で言う。

「リゼ、早くラフィン殿を連れて行け。少し離れていろ」

「は、はい」

いくらテオでもカイが相手では、分が悪いのではないか。

それでも、自分もラフィンも足手まといなのは分かっているから言われた通り離れるしかなかった。

「ラフィン様、掴まって下さい」

カイを意識しながら、ラフィンに近付き身体を支える。

「リゼ殿……」

「ラフィン様早く」

「ああ」

(ラフィン様の手当てをしたら、すぐに離宮に助けを呼びに行こう)

それまでテオが無事で有る事を心から願った。

リゼがラフィンに肩を貸し遠ざかって行くのを、カイは苛立った目で見送った。

直ぐにでも後を追いたいのに、目の前のテオに隙が無く動く事が出来なかった。

「ここまで追って来たのは敵ながら見事だが、それも終わりだ。ここから先には進めない」

背中にリゼとラフィンを庇う様にしながら言うテオに、カイは怒りを露わに叫んだ。

「それならお前を倒して行く!」

同時にラフィンを一撃で倒した剣でテオに切りかかった。

けれど、テオにはまるで通じなかった。

「その程度で、私は倒せない」

あっさりと攻撃をかわされ、反撃を受けた。

「ぐっ!!」

なんとか受け止めたけれど、体勢を立て直す間も無く、次の攻撃が来る。

それが何度か繰り返され、遂にカイの剣はテオの攻撃に吹き飛ばされた。

「……!」

目の前にテオの剣が突きつけられる。

「終わりだな」

テオはの低い声が辺りに響き渡った。

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