三ノ宮にマリアが入った翌日。

再び、エリスの召集で各宮の妾妃が二ノ宮の大広間に集まった。

「リゼ様、最初が肝心ですから毅然とした態度で接しないと駄目ですよ。少し厳しいくらいが丁度良いですからね」

隣に座るマルチナが、そっと耳打ちして来てリゼは苦笑いを浮かべた。

自分も以前、マルチナに厳しい態度をとられていた事を思い出した。

「……何がおかしいのですか?」

「いえ……マルチナ様の言う通りしっかりします」

「そうですよ。本当ならもう少し怒ってもいいくらいです。新しい妾妃は昨夜陛下と過ごしているのですから。リゼ様は嫉妬しないのですか?」

確かに昨夜クラウスは三ノ宮に渡った。

けれど、実際はマリアと対面をした後、クラウスは密かにリゼの宮にやって来て夜明けまで共に過ごした。

だから、マリアに対して嫉妬を持ったり、不安を感じる事は今のところは無かった。

けれど、クラウスから聞いたマリアの様子が気がかりではあった。

『マリアの様子がいつもと違って見えた。環境が変わった事での緊張だからかとは思うが……』

心配そうに言ったクラウスの言葉が頭から離れなかった。

クラウスはマリアに、二人の関係はこの先も兄妹のままだと言う事。

いずれ良い嫁ぎ先を探し後宮から出すから心配する必要は無いと話したけれど、マリアの反応は薄かったと言っていた。

黙ったままで、ろくに返事もしなかったと。

(マリア様は何を思っているのだろう)

クラウスの言う通り、初めての後宮に戸惑っているだけだといい。

けれど、もし違っていたら……。

マルチナの存在を忘れ考え込んでいると、エリスが広間に入って来た。

エリスが中央の上座に座るとすぐに、マリアとその侍女がやって来て、リゼ達が見つめる中、用意されていた席に腰を下ろした。

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