カイの駆る馬に揺られながら、リゼは憂鬱な溜め息を吐いた。

予想していた通り、助けを求めるチャンスは無いまま国境付近の村に辿り着いてしまった。

長い距離を移動したのに、すれ違ったのは地元の農民ばかり。

リゼの事など知る訳もなく、また巻き込む事の出来ない相手だった。

(カイはエザリアの土地を知り尽くしている様に思える、警備の要所を巧みにかわして……でもどうして?)

リゼがサランに居る頃、カイが長く里を留守にした事は無かった。

それなのに、なぜカイはエザリア国内の事に詳しいのだろう。

後宮の内情はリュートから知らされていたとしても、地方の兵士の配置をリュートが知っていたとは思えない。

そうやって考えていると気分がどこまでも沈んでいった。

(リュート様が裏切り者だったなんて……)

あの繊細で儚げなリュートが、恐ろしい陰謀に手を貸していたなんて今でも信じられなかった

けれど、変えようの無い現実だとも分かっている。

リュートがカイの命令に従う姿を自分の目で見たのだから。

(リュート様はどうしてカイと繋がっていたのだろう)

二人に接点が有るとは思えなかった。

サランで育ったカイと、領地の城で育ちその後は後宮に入ったリュートに出会う機会が有ったとは思えない。

まるで分からなくてカイに問い質したいのに、常に側に居るハルトの目が気になりなかなか言い出せずにいた。

ハルトはリゼに敵意を持ち、探る様な視線を送って来る。

体調が優れないリゼに苛立ちも持っている様だった。

(この人には気を付けなくてはいけない。余計な発言は出来ない)

そう考えながらも、出来ればリュートとの関係について国境に着く迄に知りたかった。

国境で上手く逃げ王都に戻る事が出来た時、リュートと対決する事になる。

カイとの関係、連絡方法等、事情は知っておきたかった。

それにクラウスはリュート様の裏切りに気付いていなかった。

リュートが一人で何か出来るとは思えないけれど、カイの指示ならクラウスにも危害を加える行動を起こす可能性も有った。

それを阻止する為にも、カイとハルトから逃れ早く王都に戻りたかった。

この作品のキーワード
異世界  後宮  恋愛  ファンタジー  愛憎 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。