翌日の昼過ぎに、ラフィンが率いる部隊が到着した。

与えられた砦の部屋の窓から行列を目にしたリゼは、その予想以上の規模に驚きを隠せなかった。

目立たない様に、数名の騎士が付いてくれると思っていたのに、実際来たのは隙無く武装した正式な部隊だった。

(こんな大がかりな……これもクラウスの命令?)

これではかえって人目を引きカイに見つかるのではないかと不安だった。


しばらくするとリード隊長が部屋にやって来た。

「妾妃様、ラフィン様が到着いたしました」

「……はい」

既に支度は整っていたから、すぐにラフィンの待つ砦の大広間に向かう為部屋を出る。

ゆっくりと階段を降り入った広間の上座には、剣を手にしたラフィンが、堂々とした態度で待っていた。

「ラフィン様、妾妃様をお連れしました」

リードがそう言うと、ラフィンの視線がリゼに向いた。

険しい表情。歓迎されているとは、とうてい思えずにリゼは顔を曇らせる。

その直後ラフィンは立ち上がり、リゼの目の前までやって来た。

「リゼ殿、無事で何よりだ。医師の話も聞いたが、身体の方にも問題無いようで安心しました」

「はい……ありがとうございます」

「陛下もリゼ殿の帰りを心待ちにしています。帰城を急ぎたいところだが、身体の事も有るので休憩を多くとりながら進む事になります」

「はい、ラフィン様……申し訳有りません、迷惑をかけてしまい……」

淡々と語るラフィンに、リゼが緊張した面持ちで言う。

ラフィンは特にに表情を変えずに否定すると、リゼの姿を確認する様に見おろして来た。


「支度が整っているなら出立したいが」

「はい。すぐに出られます」

リゼが侍女に用意して貰ったローブを身体を隠す様に覆うと、ラフィンは頷き外に向け歩き始めた。

リゼがその後に続き、背後を守る様に、リードがつく。

建物の外に出ると来た時と比べ、兵士が増え警戒が強くなっている事に気がついた。

(私が居たから? でもこれじゃあ、カイに居場所を知らせるようなものじゃないの?)

少しの乱れも無く整列する部隊を見て、リゼは躊躇いながらもラフィンに問いかけた。

「ラフィン様……あの、これ程の部隊だと、逆にカイの目を引きませんか?」

リゼの言葉に、ラフィンは薄い笑いを浮かべた。

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