書くの神


実は人気作家同士の恋‼なんて、今までなくない⁈

この失恋を、書くパワーにしろと?

あいつ(この場合は親しみを込めて)は、いつも私が落ち込むと、ふらっとやってくる。

振られた時や振った時は、その心情をストーリーに折り込むようにと。

悲しいことがあった時は、優しい話を書くようにと。

それだけじゃない。

楽しいことがあった時は、幸せをおすそ分けするようにと。

悔しいけれど、やつは優しい。

やつは舞い降りるんじゃない。

降臨するなんて、僕には滅相もないですよ、と言うに違いない。

そっと、玄関の隙間からやってくる。

私の心の隙間に入り込むように。

そして居座る。

私の心が満たされる、その時まで。

だから心配しなくてもいい。

どれだけ傷つき、失ったとしても、書くの神はきっとやってくる。

しばらくご無沙汰しているのならそれは。

どこかで甘いものを食べているだけ。

茶屋に座りながら。


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