《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~

現世からの隔絶


 ───遙か昔


 世界には〝ヒト〟と〝リノ〟と呼ばれるふたつの種族が共存していた。

 リノと云う人種には特殊な力があった。
 彼らは自然界の力を借り、自在に操ることができた。同時に自然を心から愛し、世界の秩序を保つのが使命だった。
 一方。ヒトと云う人種は自然を操る術を持たないが、生き抜く力や知恵を巧みに絞り苦難の日々を乗り越えて繁栄していった。

 ヒト族は自然の力を操れるリノ族たちを尊敬し、敬愛した。
 また、リノ族は努力や工夫を重ね生活してゆくヒト族を尊重し見習った。

 ふたつの種族は互いの存在を認め、歩み寄り助け合いながら永くを共にした。



 だが───。

 時代が進むに連れ、繁栄力の高いヒト族の人口は増加。するとヒト族は自然に寄り添う事を止め、対抗する手段を考案し次第に自然を恐れない様になっていた。
 更には自然の力を操るリノ族を疎ましく感じる様になり、その力を〝魔の力(ディアロス)〟と忌み嫌いだしたのだ。

 そしてついに恐れていた事が起きてしまう。



 ───迫害。


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