夏色の約束。~きみと生きた日々~

夏色の約束



───鼻をすする音が微かに聞こえる中で、なつは閉じていた瞳をゆっくりと開けた。


目の前には、泣いてる子や目を伏せて何かを考えている子、そして、なつから目を逸らすことなく真剣に話を聞いてくれている子がいた。


胸の奥がジンとするのを感じながらも、なつは話を続ける。


「彼は今から5年前の今日、大切な家族に見守られながら、亡くなりました。13年という、私たちからすれば短い時間でしたが、きっと彼はそれを悔やんではいないと思います」


なつはね、あおちゃんじゃないからあおちゃんの本当の気持ちは分からない。


笑顔の裏であおちゃんがどんな気持ちを抱いていたのかも分からない。


……だけどね、これだけは言えるんだ。


「だって彼は、心臓病という病と闘いながら13年も生きたんだから。彼にとって“13年”という年月は、決して短いものじゃない」


彼にとって、あおちゃんにとっての“13年間”は………。


「死に物狂いで生きた、とても長い長い年月なんです。必死に生きた、大切な時間なんです」


みんなは分かるかな。


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