さよならはメールで。
さよならはメールで。
クリスマス、それは、
恋人たちの聖なる夜……

そう、今の私以外には。

***********


気づいた時には、
今すぐ出ても間に合うか
分からない時間だった。

それは直ぐにむだ足と
なるのだけれど……

父と母は
クリスマスデートとかいって
数時間前に
二人で出掛けた。

待ち合わせ場所は
都内一の大きなツリーの前。

そこへ向かう途中、
私は見てしまった。

彼が他の女と
楽しそうに
歩いてるところを……

来た道を引き返した。

帰ったらメールをしよう。

鍵を開けて、
数分前に出た玄関に入った。

「はぁ~」

ため息しか出てこない。

カバンを部屋の角に
放り投げ、弘史に
一言だけメールをした。

[今までありがとう……
さよなら]

送信完了の文字を見て
携帯の電源を切った。

バイバイ弘史。


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