冷たい手と11月25日

過ぎた時間

逢わなかった1年半と言う時間がこれで埋まってしまうのだろうか?



そんなはずはない・・・




さっき遠くに感じたのは事実だから・・・

蓮人の広い背中を確認しながら、自分の気持ちも確認していた。





しかし次の瞬間、一瞬で奪われた唇にさっき再確認した自分の気持ちさえも、蓮人に奪われた気がした。

長いキスの間、外の激しい雨の音までもが心地よく耳に響いていた。






「やり直そう」

耳元でこう言った蓮人・・・





やり直す?

今更何を・・・
1年半前別れた理由さえ今となっては遠い記憶となっている。

どうでもいい訳じゃないけど、だからって今更な感じはあった。


キライじゃないし、キライで別れたワケでもないし、今でも好きだけど、でも・・・

今の私にとっては、そんな感じなのだ。




そんな複雑な気持ちを今更言葉にしなくてはならないことに少し苛立ちを感じながらも、
蓮人の肩越しで大きく一つ深呼吸をして、蓮人から離れた。





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