あくあまりん。
ドキドキ?
《大河side》


「大河ぁ。

まーた親父さんとケンカしたの?」


「………唯華か。

うっせぇな。どーでもいいだろ。」


「どーでも良くないよっ!

大河の親父さんだって大河にちゃんとして

財閥を継いで欲しいから

厳しく言ってんのよっ!!」


「…………………そーだといいけど。

だとしてもテメェにはカンケーないだろw」


「………ひどいよ大河。

私は大河のため思って言ってたのに……」


「おあいにくさま。

とっとと消えろ、偽善者が。」


「………大河なんか知らないっっ!!!」



そう吐いた俺の女友達、柚木唯華は
涙目になりながら去っていった。






…………カッコ悪っっ………

はっきり言うと、あんなこと言う気無かったのに………

自殺未遂して、挙句女に止められてイライラ
してた俺は、思わず唯華に当たってた。







ちくしょぉ……

こんなことになるつもりなかったのに……








だあぁああ、もう、
イライラするっっっ!!!!!

何なんだよ、あの女!!


自分がいつ死ぬかも分からねぇからって
普通死のうとしてる人邪魔するかって………

……いや、するかw



どっちにしろ、俺はイライラしてる。

あの女のせいだ……………。


くそっ…………
次会ったらただじゃおかねぇんだからな!!




















……………………………………でも。



正直言うと…………あの女に謝りたい。

最初は俺も気分が高ぶってあいつに
ひでぇこと言ってた。


わかってる。
あいつはただ純粋に、自殺しようとする者を
止めただけ。


それなのに俺は、しょうもないただの
自分の嫌悪感を人に擦り付けようと
してただけだ。


…………みっともねぇ。


仮にも、財閥を継ぎたいと思ってる俺には、
そんなことしてしまったら正直ますます
継げなくなる。


………今回は、今回だけは、素直に自分の非を
認めようと思えた。








……………仕方ねぇ。

あの女に誤りに行こう。





ついでに見舞いでもするか。


えーと、花屋…………………










そして、俺の手にはカーネーション。










……………………この格好みっともねぇ。

ものすごくみっともねぇ。



けど、まぁ………………今回だけだ。






それ以来絶対あの女には会わねぇ。


そう、今回だけ………………








「あれ?篠塚?」




ーーーこの声は。







「矢沢??」





俺のクラスのダチ、矢沢 卓海がいた。



「………花束抱えるのが誰かと思えば……

お前だとは思わなかった、篠塚。」



「………うっせぇ。不本意だっつーのw」


「誰々、誰にあげるの??」




えーと………話していいのやら良くないのやら。



「えーと………

病院にいるある女。」


「どんな子?」


「……車椅子の。」


「………年は?」


「けっこう近く??」

……だんだん矢沢の口調がゆっくりに
なってくのは気のせいか?w


「…………………髪の毛の長さは?」


「……………………………ロング。」


「……………………………………………………

服の色。」


「………………会った昨日はピンク。」



「だあぁっっ!!!

ソレ、杏樹のことじゃねぇかあ!!」


「…………杏樹??」


………あいつ、杏樹っていうのか。


「長峰 杏樹ってのは、俺の幼なじみ。

ちっせぇ頃から心臓病で、

俺以外友達すらいなかったのに、

いつの間に篠塚…お前………。」


「………………もしかして。

お前、あいつのこと好きなの??」


途端、矢沢の顔がボッと赤くなった。

あら、矢沢クンこんな顔するの。アハハw

コイツモテるくせに男にも女にもいつも

仏頂面で避けられてんのにww

この時また微妙にその杏樹ってのに

興味が湧いた。


「しっ、篠塚!!

杏樹には黙っとけよ?!」


「はいはい。

つーわけで、ちょっと行ってくるわ。」


「おう、行ってらっしゃい。」









さてと、病院に向かうとしよう。
















……あいつ、こんな俺を許してくれるかな……?
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