甘い恋の始め方
登録名は……久我副社長ではなく「悠也」

仕事とは関係ない。

社でも顔を合わせる確率はほとんどないのだから。

理子はバッグの中にスマホを入れると、並んでいるタクシーの一番前で乗り自宅に戻った。

代官山のワンルームマンションへ戻り、ベッドに倒れ込むように横になる。

タクシーに乗っている間も眠くて仕方ないのに、心が興奮して……目を閉じても眠れなかった。

今も目を閉じればすぐに眠れそうなのに、数時間前の出来事のせいで眠れない。

(いまだに自分に起こったことが信じられない……本当に久我副社長に抱かれたんだよね?)

自分から香る彼の残り香がそうだと言っている。

(シャワーを浴びれば眠れる)

理子はだるい身体を起こして浴室に向かった。


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