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スーパーの袋をキッチンの台に置いて、理子はぐったりとシンクに寄り掛かる。

始終、浩太のペースに狂わされ、胸に響くようなセリフを平気な顔で言われ……

(わけわかんない……)

考えを振り切るように首を振ると、スーパーの袋から買ってきたものを冷蔵庫にしまう作業に集中する。

(別れ際、3日後の火曜日の夜にデートしようって……どうしよう……)

理子の心の中にいるのは悠也だ。

身も心も持っていかれるセックスをして、この人ならば結婚したいとさえ思っている。

ただし、悠也にその気があれば……の話だ。

後で冷静に考えてみると、1度飲みに行っただけで寝る軽い女だと軽蔑されたかもしれない。

酔っていたせいで、悠也に「将来の旦那として見れる?」と言われたことなど覚えていない理子だ。

悠也を思っただけで、身体が甘く疼く。

両手を身体に巻きつけ、疼きをおさめようと抱きしめる。

浩太のことを悩んでいたのに、いつの間にか悠也を思い出している。

悠也を忘れられていた時間は、浩太と会っていた時間だけ。

(やっぱり久我副社長が好き……)

ふたりを天秤にかけたら、絶対的に久我副社長の方が重い。

(でも……浩太君も嫌いじゃないのよね……)