ウェディング・チャイム

４月の行事予定

～職員室と学年主任と私～

　六学年通信　『ＰＯＷＥＲ！』
　進級おめでとうございます！

　一組担任　甲賀　新（こうが　あらた）
　二組担任　藤田　美紅（ふじた　みく）

　これから卒業するまでの一年間、六年生六十名プラス担任二名で、伝統ある森が丘小学校を今よりもっと素晴らしい学校にするため、頑張ります。今後もご理解とご協力をよろしくお願い致します――


　ビシバシとタイピングの音を響かせながら、一心不乱に学年通信の文面を打ち込む。

　ほぼ出来上がったので、隣の席で同じくパソコンに向かって仕事中の学年主任に声をかけてみた。

「甲賀先生、学年通信の文面、チェックして頂けますか？」

「おお、藤田ちゃん、頼んですぐなのに、もう出来たのか。仕事早いな」

「いえ、今回は書くネタがいっぱいあるので、スムーズに進んだだけですよ」

　口ではそう言いつつ、褒めてもらったのがちょっと嬉しい。

　顔をほころばせながらパソコンのモニターを甲賀先生の方へ向けたけれど……多分そちらからは見えないはず。

　なぜなら、私と甲賀先生の机の間、正確には甲賀先生側の机の端には、高く積み上げられた書類の山ができているから。　

　 甲賀先生もそれを感じたらしく、こんなに近距離だというのに椅子から立ち上がり、私の真後ろへやってきた。

　 アイスミントの香りがふわりと漂う距離感にどきんとした。

「ん～、どれどれ。あ、マウス貸して」