時計の針たちが真っ直ぐに立ち、ぴったりとその姿を重ねた瞬間、社内が動き出す。


「今日のランチ、駅前にオープンしたお店にしない?」

「良いですね! あの店この前入りましたけど、パスタ美味しかったですよー!」

「本当?……ねぇ、木村さんもどう? 一緒に行きましょうよ」


先に席を立った先輩社員二人が、揃って顔を向けてきた。

私はデスクの上を整頓する手を止め、苦笑いをする。


「すみません。給料日前でちょっと今厳しくて……今日は止めときます。給料日過ぎたらまた誘って下さい」


今の自分のお財布事情を打ち明けると、二人は「残念」と呟いた。

吐き出した言葉は同じでも、表情は真逆。

私に声を掛けてくれた十歳年上の結城(ゆうき)さんという女性は、大変ねぇと同情の眼差しを向けてくれている。

けどもう一人、真鍋(まなべ)さんの態度は……正直言って、癪にさわった。

嘲笑うその瞳に、その顔に、腹が立ってしょうがない。


「あの新作バッグ、無理して買うからよ」

「……えっ」


確かに、大好きな某ブランドの新作バックを買った。

今日初めて持ってきたというのに……もうチェックされてる!


この作品のキーワード
オフィスラブ  王子様  溺愛  振り回され  妊娠  結婚 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。