静かに閉まっていく扉の向こうから、真鍋が鼻で笑ったのが聞こえてきた。

唇を噛みしめながら顔を上げ、涙の溜まった視界で階の数字表示が増えていくのを確認する。


む、む、む、むかつくーー!


私は八つ当たりするように、ボタンを連打した。


「あっ、やばー。持って来ちゃった」

「えー。駄目じゃーん」


聞き覚えのある声にハッとする。

嫌な予感と共に目を向ければ、一拍遅れて彼らも私に気がついた。


「あっ、エアロビ木村だ」

「あっ、レッグカール木村だ」

「ちょっと止めて!」


目の前で私をエアロビなどと言った彼らは、桃宮君と松戸君。

部署は違うけれども、彼らもオールエヌの人間だ。

……そして実は、私は彼らに弱みを握られている。”素”の自分を見られてしまったのだ。

私はスポーツが大好きである。

学生の頃は部活動で仲間と共に汗を流していたが、大人になった今はストレス解消目的として体を動かしている。

皇居の周りをランニングをしたり、自宅の最寄り駅近くにあるスポーツクラブに結構な頻度で通ったりしているのだが……なんと彼らも同じスポーツクラブの会員だったのだ。

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