大田原さんを諦めて新しい恋を探してみようと思ったけれど……結局私の心は何も変わっていない。

素敵だと思う紺野さんとも何度かすれ違ったけれど、自然と目は、大田原さんを探してしまっていた。

大田原さんは、台風の目だとわかっているのに……。

はぁっと、大きなため息が口をついて出たとき、ポンッと肩を叩かれた。

飛び退きざま後ろを振り返ると、上田のオヤジが笑みを浮かべて立っていた。


「いつも思うけど、美都里くんはフットワークが軽いね」

「は、はぁ……何ですか?」

「まだ帰らないよね? ちょっと備品を運ぶの手伝ってもらいたいんだけど」


いえ、帰りますけど……と言いかけて、先ほどの事務室の様子を思い出した。真鍋さんたちとは少し時間をずらして帰りたい。


「……はい。分かりました」

「上の階からも運ぶように頼まれててさぁ。いやぁすまないねぇ、美都里ちゃん」


上田はニヤニヤしながら廊下の端にある小部屋の扉を押し開け、中へと入っていった。


美都里ちゃん、とか。気持ち悪いんですけど。


寒気に身を震わせたとき、室内から大田原さんが真鍋さんやその他大勢の女子社員を引き連れて出てきた。


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