大田原さんが通勤で使っている高級車に乗り、運転する彼を横目で見てドキドキすること三十分、到着したのはショッピングセンターだった。


「ここですか?」

「はい」


車を降りた大田原さんを追って私も助手席を降りた。

急いで彼の横に並ぶと、エンジンの音が響き渡った。互いの足が同時に止まる。

走行中の車が目の前を行きすぎるのを待つ間、大田原さんが私を見降ろして、ほほ笑んだ。


「屋上にフットサルのコートがあります」

「屋上、ですね」


すぐ近くに桃宮松戸がいると思うと、収まりかけていたイライラがくすぶり出す。

よりによって大田原さんに余計なことを吹きこむなんて……あの二人やっぱり許せん!


「木村さん? 大丈夫ですか?」


眉間にしわを寄せた瞬間、大田原さんが顔を覗きこんできた。慌てて表情を取り繕う。


「気分でも?」

「い、いえ! 何でもないです! 早く行きましょう!」


私の様子を気にしながらも、大田原さんは「そうですね」とエレベーターに向かって歩き出す。

危ない危ない。

彼の一歩後ろを歩きながら、眉間を指先で抑え――……ハッとする。