人知れず、夜泣き。
乾く。





 ------店長に『昼休憩に行け』と店を摘み出された。

 今日も晴天。 屋上日和。

 ボーっと空を見上げる。


 --------木内、泣いてたな。

 『はぁ』

 溜息しか出てこない。

 
 空を走る飛行機雲を無意味に目で追っていると、背後でドアが開く音がした。

 「橘くん、クリームコロッケ作って来たよ」

 ドアの方に目を向けると、弁当箱を持った木内がいた。

 「どうぞ」

 木内がニッコリ微笑みながら近づいてきて、オレの膝の上に弁当箱を乗せた。

 蓋を開けると、美味しそうなおかずが犇めき合っていて、

 「うん。 やっぱり美味い」

 味も期待通りで。
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