克服ブラックベリー
*B組の前田さん*

『あたしと清哉が7時50分にいくから!
これから、4人で学校行くからね!』

時計は6時を差している。
「さ、さすがに早すぎだよね…」
私は大きく伸びをする。
昨日の出来事が、ばぁぁっと頭に流れ込む。
「一日が、あんなに短く感じたの初めてだったなぁ……」
急にみんなが訪ねてきて
なんだか私も変わらなきゃって、
進まなきゃって思った。
そして、この人達と
もっと仲良くなりたいと思った…
私はベットから出て、仏間へ行く
写真の中で笑っているお姉ちゃん
「……私、進むね…………
お姉ちゃん……っ」
ごめんね、って心の中で呟く
傷が消えたわけじゃない
けど、このままの自分は好きになれない
変わりたい。
変わって新しい自分になって
自分を好きになりたい……!
「優真…ここに居たのか」
「あ、お父さん…おはよう」
お父さんは、
「ん」
とだけ言って、隣に座る
じーっと、お姉ちゃんの写真を
見つめてる……
ごめんなさい…ごめんなさい…
私はそう何度も心の中で呟きながら
すごく申し訳なくなって俯く。
その時、
お父さんの大きいゴツゴツした手が
私の頭を不器用にわさわさと撫でる
私は驚いて言葉が出なかった。
お父さんは立ち上がり、仏間から出て行こうとする。
「頑張れよ優真…
愛花の分まで……愛花もそれを望んでる。」
私はその暖かい言葉が
心に染み込んでいくのがわかった。
「…うんっ………!」
私は立ち上がり、支度を始めた。

「えっ、嘘!!」
私は早めに準備を終え、
パソコンを開いてメールを確認する。
「書籍化5冊目やったぁぁぁ!」
何の本かなー?
とワクワクしながら文章を読んでいく。
「………っ…」
それは、「消せない罪」という
”私の”話だった
せめてもの償いとして
初めて恋愛以外を書いたものだった
「………お断り…しよ……」
私はお断りするための文章を
パソコンに打ち込んで行く。

「おはよーございます!」

あ!忘れてた!
私はもう、引きこもりじゃないんだ
病みから抜け出すんだ!
「ゆまー!」
お母さんの明るい声何年ぶりだろう…
ずっと、私のせいだって追い詰めてた
けど、
きっと私があのままだったから。
変われば……きっと………
なんとかなるよ…ね?
ていうか慣れないもんだね…
私の無理矢理ポジティブ精神も
もうそろそろ砕け散りそう…
でも、今はみんな待ってる
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