サンタX
それは一枚のメモから始まる。ミステリィにみせかけたオフィスラブコメ。




【あけておけ】



……何をだよ。

正美がそう思うのは無理からぬことだろう。

正美が仕事の途中で席を立って、戻ってくるとデスクに一枚のメモ用紙があって、そんな言葉が書かれていたのだ。

開ける?
空ける?
明ける?

正美はまず自分のデスク上をくまなく探してみた。

ジャムとかコーヒーとか…まぁそんなたぐいのモノを。

何故って前例がある。

どちらかと華奢な方ではあるが握力は人並み…いや人並み以上にあるのだ。

以前、男子社員でも挫絶した瓶の蓋を容易く開け放ってからというもの、明らか御家庭用と思しき佃煮の蓋だとか、ワックスの蓋だとか色々なモノを持ち込まれ、解放し、今や『ゴットハンド』という異名まで付けられている有様だ。

可愛くないし、嬉しくもない。

生憎とデスクの上には作りかけの書類とパソコンがあるだけでメボシイモノは見つからず、引きだしも確認してみたが文房具と書類があるだけだ。


「探しモノっすか、加宮さん。」

「い、井上っ……べ、別に何でもないよ。」

突然かけられた声に正美は居住まいを正し、無意味な笑顔で応えた。

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