「有坂先生、LDRの妊婦さん胎児の心拍数が落ちてきてます」

分娩室に駆け込んできた看護師が、医師である佑一郎へ告げた。

「わかった、ここの縫合が終わったらすぐに行く」

クリスマスイブの産科病棟は、いつも以上に忙しかった。

なぜだ。

佑一郎はその理由を探そうと思ったが、答えはすぐに見つけることが出来た。

「先生、ありがとうござました。最高のクリスマスプレゼントをいただくことができました」

産婦の夫が目に涙を浮かべてそういうので、佑一郎は妙に納得した。

「おめでとうございます。クリスマスプレゼント、ですか……」

赤ん坊がクリスマスプレゼントだとしたら、自分はサンタか。

なら、今晩は忙しくても仕方がないんだろうな。

佑一郎は苦笑いしながら、小走りでLDRへと向かった。



※LDR:陣痛時から分娩・回復までを家庭的な雰囲気(自宅の寝室のような)の中で行う部屋。
陣痛分娩室【Labor Delivery Recovery】