バース(アイシテルside伸也)


亜美の寝顔に手を触れると温かさが伝わってくる。



それだけの事なのに、俺の涙腺はゆるくなってしまう。



どうしてもあの時の亜美の冷たさが忘れられなくて……



「心配ばかりかけやがって」



でも、こんな風に些細な事で崩れ落ちてしまう亜美もまた好きなんだ。



俺が強くいなければいけない。



そう思わせてくれる。



亜美の側にいれば、無理をしてでも強くいたいと願うから……



そして、作り物の俺の強さがいつしか本当の強さに変わってくれればいい。



亜美の顔を見ながらそんな事を考えていた。

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