バース(アイシテルside伸也)


亜美は俺を居間へと通し、すぐにソファーに腰掛けた。



買い物袋を抱えたまま、放心状態の亜美。



俺は亜美の横へと腰を下ろし口を開く。



「食わないのか?」



「あっ、うん」



袋の中を覗いた亜美は一瞬手が止まり、俺のほうを見つめる。



「伸也さん……」



「ん?」



「飲み物ないや」



「気にすんな」




こうやって周りの人間を気遣える亜美の性格が好きなんだよな。



昨日のことがあっても、飲物の心配なんかしてくれるコイツが可愛くてたまらない。



横に座る亜美を今すぐにでも抱きしめたくなってしまう。

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