バース(アイシテルside伸也)


現役を退いた親父は、暇を持て余しているのか、こうしてよく会社に顔を出す。



今は毎日見合いのことで頭がいっぱいなのだろう。



俺があの街を離れた、すぐ後に予定されていた見合いは破談となった。



相手の会社の経営が傾き、親父が手を引いたのだ。



見合いをしないならば、亜美と別れる必要はなかったのかもしれないけれど、もうあの街に戻るつもりはなかった。



中途半端な状態のまま、亜美のもとへ行けば、すべてが宙ぶらりんのまま終わりそうで怖かった。

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