婚カチュ。
2◇たとえば大胆不敵なアドバイザー

1  ◇ ◇ ◇


狭い鳥かごのなかにセキセイインコのオスとメスをそれぞれ4羽ずつ閉じ込めたら、いったいどんなことが起こるだろう。

オスたちはこれだと思う相手をそれぞれ見つけて求愛行動をとるのだろうか。
1羽のメスに群がったり、取り合いになったりはしないのだろうか。
 
そもそもインコの求愛ってどんなんだろう。
 
そんなことを考えながら目の前に並ぶ料理を皿に盛っていく。
湯気を立てている鶏肉の香草焼きにフォークを突き立て、わたしは部屋のなかを見回した。
 

結婚式場の控え室のような四角い部屋に、男女が8人、立ったり座ったり、談笑したりしている。

中央にはビュッフェスタイルの料理が並び、仕事帰りでからっぽのわたし胃袋を刺激している。

その場にいる半数の人間が皿に料理を取っていたけれど、実際にかぶりついているのはわたしだけだった。
ここでは口というものは、ドリンクで喉を湿らし、話をすることに使うものらしい。
 

当然だった。

これは結婚相談所がセッティングしてくれたお見合い合コンなのだ。


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