まんなかロックオン
まんなかロックオン


『好きなんだけど、麻佑!』


隣のクラスの矢澤洸(コウ)からそんな告白を受けたのは、昨日の部活後。

部室を出て、さぁ帰ろうという時だった。


自転車に跨ってこちらを見るあいつは、珍しく照れた顔をしていた、ような気がする。西日が射してたから、わかんないけど。

『……はっ?』

兎にも角にも可愛げの無い私は、咄嗟にそんな言葉しか出せなくて。

こちらが驚いて何も言えなくなってる間に、あいつは『返事はいつでもいいから』なんて言って、早々にその場から姿を消したのだった。


いや、意味わかんないんだけど。


矢澤洸といえば、同じバスケ馬鹿として同盟を組んでいる仲で、小学生の頃からの友達である。

中学高校ともに、あいつは男子バスケ、私は女子バスケ部に入部して、互いに技術を磨きあっている…まぁ、そこらへんの男子よりは親密な仲の、男友達で。


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