秘密の言葉

不安

__秋の色が、さらに深くなってきた。
寒さもより一層増している。

「水樹おはよう!今日も寒いね〜」

水木君が来てからは、つまらなかった日常が、毎日輝いている。
不思議だな……。

「水樹、何かいい匂いするっ」

大きな出来事は、ほんの小さな出来事から始まる。
その出来事が、結果的にいいものか悪いものかは、1番難しい所。

「実はさ…気になる人ができたの!」

気になる人、かぁ…。
恋バナとか、1番苦手かもな。

「気になる人か、学校の人?」

「わかんないっ!」

"わかんないっ!"って…ちょい!
わかんないってあるの?!
気になる人なのに…わからない?
ちょっと、理解に苦しむな。

「…社会人?」

「ちがーっう!一応ここの制服来てたんだけど、学校では見たことなくてさ」

「先輩じゃないの?」

「ネクタイが1年生だった!」

そういえば、ここの学校学年でネクタイの色違うもんね。

「私やっぱ、恋バナパスする」

「えー!素っ気ないーっ」

はあ…拗ねてるのに可愛い。
可愛い子って、何か怖い気もするな…。
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