旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 本当なら凄く嬉しくて舞い上がってしまいそうけど、いつか来る別れを考えると素直に喜べずにいた。

 でも彼と触れあえる事は嬉しくて、彼の差し出された手を拒むことは出来なかった。

 でもやっぱり……近づきすぎる気がする……。

 このままでは彼から離れられなくなってしまいそう……。

 そんな気持ちを知らない彼は少し後ろを歩く私を振り返って優しい瞳で私を見つめる。

 ドキッ!として思わず目をそらしたが、真っ赤な顔をした私を見て彼がクスっと笑った。

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 食料品を買っていると彼があることに気づいた。

「お菓子でも作るんですか?」

 買い物カゴには小麦粉、卵、生クリーム、バターなどお菓子作りに必要な材料が入っている。

「あ、はい。明日は私の誕生日なので自分でケーキ作ろうかと思いまして」

 自分の誕生日ケーキを自分で作るのが少し恥ずかしくて照れたように言う私を彼が驚いた様子で見る。

「そうだったんですか。すいません。知らなくて」

 申し訳なさそうな顔をして彼が言う。

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