高梨さんの日常

君と笑顔でいたいから





★★

昨日、姉が帰ってきて、妙なことを言ってきた。


「高梨ちゃん、明日だったら話してくれるかもよ」


なんで高梨がでてくるんだ?

友達とバレンタインをつくりに行ったんじゃなかったんだっけ?


「あ、ツカサのおかげですごく美味しいの出来たよ、ありがとう」

笑って、言った。


「どういたしまして」


シスコンっぽいけど、姉の笑顔はきっと全世界を笑顔にするんじゃないだろうか。

そんな力がある気がする。


上機嫌に鼻歌を歌い出す姉に、ふう、とため息がこぼれた。



そして、今、寒空の下、いつかみたいに高梨と屋上に来て座っている。


「北条、これ」

渡されたのはしっかりとラッピングがしてあるそれなりの大きさの箱。

「ありがとう」

箱の大きさは愛の大きさかな、なんてわけのわからないことを考えながら、包みを開いた。


出てきたのはハート型のフォンダンショコラ。


俺が一番好きなチョコレートのお菓子。


嬉しすぎる。

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