好きなんて、言えるかよ。


何で今になってここにいるの!?


自己紹介をしている彼はニコニコと笑っている。

この笑顔が私のこと、気付いているんじゃないかって思って怖い。


「じゃあ吉田の隣座ってな」


先生がそう言ってくる位置は

私の列の一番後ろだ。


ドキドキしながら、ぎゅっと目をつぶり


彼が私の横を通ると


パチーー


薄目を開けた私は、一瞬だけ、目が合った……ような気がした。



どうか、私に気付きませんように。


その願いは簡単に崩れることになるのを


私はまだ知らなかった。




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