好きなんて、言えるかよ。


俺たちは屋上に移動すると、

奥まで行ってフェンスに手をかけた。


遠くを見つめて何を言われるのか待っていると

井上は言った。


「転校するんだ」


「聞いたのか?」


いつかはバレると思ってた。

仁菜にも、井上にも


本当はちゃんと言っときたかったが

どうしても言うことが出来なくて

そのまま先生に転校届けを出しに行った。


「お前って

俺が聞かないと教えてくれないのな

友達じゃねぇの?俺ら」


「そういう情を持ちたくねぇの

離れた時辛れぇから」


この経験はもう2度としたくない。

好きな奴と離れて、友達とも離れてく



「ふぅん、じゃあ沢村さんにもそういう気持ちなんだ」



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