【完】腹黒王子の一途な溺愛宣言
心瑠の幼なじみ【勇吾サイド】
「…………」
心瑠……大丈夫かよ。
俺は心瑠を家まで送った後、ずっとそんなことを考えながらマンションの階段を下りていた。
あの蒼空っていう幼なじみ……アイツも心瑠が好きなんだな。
さっき、アイツとすれ違った。
そのとき―――
「あのさ」
俺はアイツを呼び止めた。
「なに?何か用かな?みんなの王子様」
嫌みったらしく言ってきたアイツはたぶん、俺の正体がわかってるんだとわかった。
「……心瑠のこと好きなのかよ」
俺はさっきみたいな優しい口調とは違って、低い声で言った。
「だったらなに?」
「…………」
「心瑠と付き合ってるって言われてるけど、どうせ無理やりだろ?悪いけど、みんなの王子様には心瑠は渡さねぇーから」
そう言って去っていった。
やっぱり……アイツも心瑠が好きなんだと確信した。