【完】腹黒王子の一途な溺愛宣言
鈍感なアイツ【勇吾サイド】
『もう怖くて蒼空は不機嫌そうだったけど何回も抱き着いちゃった……』
たまたま心瑠の席を通りかかったとき、こんな言葉が聞こえてきた。
“ソラ”って、幼なじみのアイツ、だよな?
アイツに抱き着いた……?
そうわかった瞬間、俺は無意識に心瑠を教室から連れ出していた。
「あ、青山く……っ」
「うるせぇ」
無性にイライラして、止まらなかった。
なんで、アイツの家に行ってんだよ……。
なんでアイツに平気で抱き着いてんだよ……っ
心瑠はほんとにバカだ。
大バカだ。
空き教室に心瑠を押し込んで、今度からは俺の家に来るように約束した。
あの蒼空って幼なじみがいつ、心瑠に手ぇ出すかわかんねぇーしな。
「……青山くん、大丈夫ですか?」
少し顔が熱い俺に、心瑠が心配そうに声をかける。
「……べ、別に」
「顔、真っ赤ですよ?熱でもあるんじゃ……っ」
心瑠は俺のおでこに手を伸ばして触れた。
「ば……っ、触るな……っ」
心瑠は無防備に俺に触る。