愛し*愛しの旦那サマ。

となると―…

声の主は、あのお方しか浮かんでこない。


そう、あのお方―…

お義姉サマだ。


「お、おはようございます。お元気でしたか?」

「勿論よー、今からちょっとそっちへおじゃましようと思うんだけど、幸代ちゃん大丈夫ー?」

「はい。今日は特に用事もないのでいますけど……」


そう私が答えたところで、


「じゃあ、今から行くわねー」


と、言って、プツッと電話が切れた。

そして、


ピンポーン―…


と、インターフォンが鳴った。


も、もしや―…


と、いうか、


絶対に―…


と、思ってインターフォンの画面を見ると、


「……」


やっぱりお義姉サマ。


通話ボタンを押して、


「今、開けます!」


と伝え、オートロックを解除。かけていたエプロンをとって、バタバタと玄関へ向かう。


実の母親に冷酷罪で訴えればいいのよ!と言われるほどの臣くんの実姉が、どんなお方かと言うと―…


ガチャリ、とドアを開けると、


「幸代ちゃーんっ、ひっさしぶりー!」


という声と共に、私のほっぺたを両手でぷくぷくとさすってくれる、お義母サマ同様に素敵なお義姉サマなのだ。


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