もう一度愛してくれますか?
1 The past

hapiness

「椎名の事、ずっと好きでした!付き合ってください!」


真剣な眼差しを私に向けた少年。


少し頬を赤らめながらも口調はハッキリしているなぁ…。


どーしよー…っ


これって…本気…だよね…?


「あ…えっと…その…っ」


「俺じゃ…駄目…?」


「あー…うー…」


いや、答えは決まってるんだけど…さ。


どーやって言えばいいのかな…?


んーと、んーと…


サァーー…と季節を感じさせられる風が横切る。


少し伸びた髪の毛が、サラサラと靡いた。



「おい。…こんな所で…、風邪、ひく。」



その声と同時に肩に何かがフワッとかかる。


それから香るかすかな香りと


ぬくもり。



「…あ…。」



「また告白?…わりぃけど、こいつ、俺のだから。…ほら、行くぞ。」



ギュっと握りしめられた手にグイっと引かれる。



私は、茫然と立っている勇気を出してくれた少年に一礼を残して、引っ張られる手にトタトタとついて行った。



「ま…真城…っ」


「…ん?」


「あの…怒ってる?」


「…いや。」


ぅー…嘘だ…


だって真城、冷たい。


笑顔見せてくれない。


「なぁ、俺の事嫌い?」


「え?なんで?」


「いっつもハッキリ断らねーから。」


「それは…せっかく勇気を出してくれたから…なんか…断りにくくて…」


「…はぁ…。」


ため息をつくと、私の方を振り返った。


そして、


ぺシッ


「あぅっ!」


真城のデコピン…痛い…


「美月は優しすぎ!だから皆に狙われるんだよっ」


「…やきもち?」


「っ!うっせ」


あー、頬が赤くなったっ


ふふっ


――ギュッ


真城の背中に抱きついてみる。


「……!?」


「大丈夫、他の人の所になんか行かないよ?


私、…真城が好きだもん。」


…こんな言葉…恥ずかしー…


真城は、手で真っ赤になった顔を隠す。


「…反則…。」


「ん?なにか言った?」


ほんとは聞こえてたけどね


言葉を聞きたいから。


「…俺も、美月が好き。」


…っ!


えへへ


照れるじゃん、真城のばーか。


私は抱きしめていた手の力を強めた。
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