キケンな恋心
恋心
沙也加は一人、銀座の街を走って、走って路地の片隅に、しゃがみ込んだ。


......バカみたい......私......まるでピエロじゃない......バカみたい......
沙也加は泣きじゃくった。


悔しさ......自分自信への怒り......


......これが大人の恋なの?......


......ならば......知らない方が良かった......


携帯のメール着信音が鳴った。


《今夜は飲み過ぎ注意な!気をつけて帰って来いよ。哲司》


......哲司......!!

また沙也加は泣きじゃくった。
......ごめん、哲司、ごめん......


どのくらい、泣いていただろうか......沙也加は泣き腫らした顔のまま帰路に向かった。



玄関で大きく深呼吸をし、鍵を開けた。


リビングに哲司の姿はなく、沙也加がキッチンへ向かうと、哲司がお皿を拭き食器棚に片付けていた。



「おぅ。今夜は早かったな。不良ママ!」
そう言って、哲司は微笑んだ。



沙也加はいきなり、哲司に抱きついた。


......哲司......ごめんね......大好きだよ....心の中で沙也加はいっぱいに叫んだ......






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