星屑ビーナス
「……」
「……」
ある日の、とある会議室。私とその男は互いに腕組みをして睨み合う。
二人の前のホワイトボードには『春期店頭打ち出し企画』の文字。
「えーと、じゃあ第一商品企画部と第二商品企画部の打ち出し、どちらに…」
ピリピリとした空気の中口を開いた上司である部長に、私とその男は同時にバァンッ!と机を叩く。
「絶対うちの第二商品部が提案した、ファンデーション企画!」
「いーや、うちの第一商品部が提案した春色アイシャドー企画だ」
「っ…絶対うちの企画ー!!」
都内のオフィス街にある、大きなビル。
『株式会社 美粧』と書かれたその会社は、その名の通り化粧品会社。
そこの会議室では今日も、世の女性を美しくするべく激しいバトルが繰り広げられている。