恐愛同級生
最終対決

【三浦玲央サイド】

「……――ははっ。どうだ?痛いだろう?」

「テメェ……」

「次はどこを刺してほしい?また腹をさしたらさすがに大量出血で死ぬな。でも、そう簡単には殺したくないしなぁ」

血の付いたナイフをヒラヒラと楽しそうに俺の目の前で揺らしながら挑発的な言葉を吐く五十嵐。

狂気に満ちたその目に怒りを通り越し、恐怖を覚える。

こいつにまともな話は通用しない。

五十嵐は人を刺すことにためらいを覚えていない。

いや違う。もう、壊れているんだ。

人としての道徳心がすでに崩壊している。

鈴森が自分から離れていくことを感じ、おかしくなったんだろう。

自殺を図った元カノも、きっと五十嵐から逃れられないと感じ死を選ぼうとしたんだろう。

死よりも恐ろしい狂気が五十嵐にあると知ってしまったから。

何とかあのナイフを奪わないと、やられるのも時間の問題だ。
< 259 / 303 >

この作品をシェア

pagetop