クール上司と偽装レンアイ!?
幸せの光
異動先の新しい部署である製造部品質保証課は総勢5名のこじんまりした所だった。

小さな部屋に40代の女性課長が一人。葵より少し上の年代の男性社員が三人。それから私。

メンバーを見て私の仕事はアシスタントかと思ったけど、それは甘い考えだったのかもしれない。

「広瀬さん、女性だからって特別扱いはしないわよ」

挨拶の後、いきなりプレッシャーをかけられ、私はゴクリと息を飲んだ。

購買部で忙しいのは慣れてると思ってたけど、この部署ってもしかして……。

「今日から打ち合わせに参加して。ゆっくり引き継ぎは出来ないから見て覚えてね」

購買部よりハードなのかも。

私はあたふたしながらノートを用意して、慣れない埼玉工場のオフィスの廊下を走る。

会議室に着くと、前置きなくいきなり打ち合わせが始まった。

同じ社内なのに私にはよく分からない専門用語が飛び交う。

私……ここでやっていけるのかな? あまりに心配だ。

緊張の転勤初日を終え、私は急いで電車に飛び乗った。

待ち合わせは8時だけど、ギリギリまで仕事をしていたから遅刻ギリギリの時間だった。

「初出勤はどうだった?」

何とか間に合い、少し呼吸を荒くしながらレストランのテーブルに着いた私に、先に来ていた葵が言った。

「やけにハードだったよ」

「確かに……疲れてるよな」

「課長は厳しいし。女だからって差別しないって宣言されちゃった、そう言うこと言う事自体差別な気もするけど」

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