Under The Darkness




「……なんで? なんで私を助けたん? 憎いんやったら、放っておいたらよかったんちゃうん。豪に……めちゃくちゃにされて、私が壊れるの見てたらよかったんちゃうの」


 憎んでいるのなら、それで充分溜飲は下がるはずだった。

 豪の暴力により私の肉体が、精神が壊れ、腐臭を放ちながら朽ち果てるまで、長い時間はかからなかったはずだから。

 京介君が助けに来てくれなかったら、汚辱の海に溺れ、沈み、ほどなく私は死んでいた。

 それは、確実だったのに。

 私は京介君を見据えた。

 彼の答えを待った。

 けれど、京介君が返した答えは、私の考えを遙かに上回る狂気を孕んだものだった。


「お前を壊すのは、豪じゃない」


 不快を露わにした顔で、吐き捨てるように、私に言い聞かせるように、京介君ははっきりと断言した。



「壊すのは、私だ」


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