この恋、国家機密なんですか!?

side宗一郎



唯に別れを告げたあと、俺はすぐに帰り支度をし、旅館をあとにした。

彼女はその間、魂が抜けたようにぼーっとしていたが、俺はそれを見ないふりをした。

唯のことは、姉さんに頼んである。

きっと大丈夫だろう。

思った通り、次の日に姉さんから連絡があった。


『唯さんは無事に京都駅まで送り届けたわよ。運転手によれば、彼女、ちゃんとお礼を言って帰っていったんだって。しっかりした人ね』


『そうか……』


『宗一郎さん……あの人になら、本当のことを話しても良いんじゃなくて?』


出た。姉さんのお節介だ。


『いや……もう終わったことだから』


正しくは、俺が一方的に終わらせたのだが。


『……そう。でも相手を傷つけたのだから、あなたなりに償いはしなさいよ』


姉さんはそれ以上何も言わず、電話を切った。

償い……か。

たしかに、償うべきだろうな。

彼女が、『いつかは結婚したい』と思っていることには気づいていた。

俺はその気はないのに、唯を手放すことができなかった。

俺のわがままだ。


< 117 / 214 >

この作品をシェア

pagetop