純愛〜彼と私の物語〜
出会う
「おじいちゃん、ただいまー!」
私は、学校から帰宅すると祖父母の部屋に挨拶をするのが日課だった。

この日も元気よく戸を開けて、祖父母に挨拶した。


私は木下茉莉愛(マリア)。明朗活発な女子校に通う高校3年生。部活で鍛えた身体は健康な女子そのものだ。髪は肩のラインで内巻きにしていた。


「おかえり。茉莉愛」
祖父がベッドの上で指圧を受けながら、言った。

祖父は90歳という高齢だが、しっかりしていて病気もなく、週に一度の指圧の先生に来てもらうのを楽しみにしていた。


「あっ...こ、こんにちは」
茉莉愛は指圧の先生が来ていたことを知らなかった。それに、珍しく今日はいつも来てくれる先生とは違っていたので、思わず慌てて挨拶した。


「どうも...」
先生は、祖父に指圧をしながら、チラッとこちらを見ただけだった。

いつも祖父の所に来る指圧師は50代くらいの人だが、今日は20代の指圧師だった。


この出会いが健太郎との最初だった...。


沼田健太郎は、28歳の整体師。爽やかな好青年だが、とても大人しそうな感じだ。



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