私はその後、鷹城さんのマンションへと戻り、シャワーを浴びて、やっと人心地つくことが出来た。
 鷹城さんに刻まれた夥《おびただ》しいほどの紅い刻印の中に、青黒く変色した打撲痕が目にとまり、ザワリと総毛立つほどの恐怖が蘇ってくる。

 高見沢さん。彼女はどうなってしまうのか。

 警察に捕らえられた彼女や聡達について、警察に説明を求められ、私は全て話した。
 犯してしまったことについて、罪は免れない。
 それは承知しているし当然だと思う。だけど、それでも、同じ人物に心を奪われた女性として、やるせない思いが痼り《しこり》のように残り、心を重くした。

 ――――想いが深すぎたんだ。

 凶行に走らせてしまうきっかけなど、実は、些細なものなのかも知れない。自分をも滅ぼす引き金となってしまう、それが分かっていても、止められなくなる。憎しみに穢れ、歪んでしまった想いゆえに。
 今回の一件でよくわかった。そう思ったんだ、この時は。

 だけれども。

 私は分かったつもりになっていただけで。

 この後起こる『痛恨の極み』的事件に、自分の浅はかさをイヤと言うほど知るハメになるなんて。私は思いもしなかったんだ。

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