1641
Prologue 1641


あたし、相沢 奈々子

16歳 女子高生


突然ですが、

高校一年の秋。
好きな人が出来ました。



まさかの一目惚れ。
乙女か!とツッコミ入れたくなるほどコロっと落ちた。恋に落ちた。


「こんにちはー」

と、語尾を伸ばし気味に挨拶されて、


「陸君のバイト友だちの古川 貴一です。よろしくね」

なんて名前を名乗られた時点でもう好きになってた。



柔らかく笑う表情

低い声

スラッとした身のこなし

癖っ毛で柔らかそうな髪の毛とか

纏う雰囲気とか


その人の全部が、全てが、私のど真ん中。


(……声格好良いなぁ)

なんて言葉を交わしてすぐに恋に落ちてしまったわけで。




その人…古川貴一さんは、私の親友の彼氏の友達だ。

今日たまたま立ち寄った全国チェーンのどこにでもあるコーヒーショップ。
そこが彼等のバイト先だったらしく、出会って早々に親友の彼氏こと大塚陸の紹介により互いに自己紹介した訳で……。




「奈々子ちゃんって可愛いね」だの、

「奈々子ちゃんって彼氏いないの? じゃあ、僕が立候補しちゃおうかなぁー」だの、

出会って5分もしないうちにたらしこまれそうになってる。


軽口を叩く彼に、私は幻滅するどころかむしろドキドキしてしまって……。


(これもう本気で好きになってるよ、あたし)


心の中で私が私に向かって呟いた。


親友の彼氏の友達って、紹介された時点でもうそれフラグ?

彼氏フラグ?みたいな?




でも、でもね、

無理なの。

ありえないないの。


だって、だって、






「いやぁ、現役JKとお知り合いになれておじさん嬉しいなー」



彼は、私のママより年上だから。



(ないわ。これはないわ。一目惚れとは言え、この年の差はないっ!!)


好きになったとはいえ、これはない。

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