ここに在らず。


それは確かに、トウマさんが言いそうな言葉だと私も思った。…トウマさんとナツキさんは、一体どういう関係なのだろう。もしかしたら私が思っているよりも深い関係なのかもしれない。

…でも、私が選ぶ事に意味があると言ったって…結局どこに行ったとしても、私の今も未来も何も変わらないのに。

ナツキさんは気付いているのだろうか。ナツキさんがここに居て、今そんな選択肢を私に提示するという事は、トウマさんも結局本邸のあの人達との繋がりがあると私に教えているという事に。

そうなると…私の選択肢って、一体何?

あの人達の手の中でどう動くか、それだけだ。結局その手の中から外に出ることは出来ない。そんなの何も変わらない。


「…学校に戻ります」


…私は、元の日常に戻る事にした。そうか、それしかないのかと、私は気づく。

もうどうでもいいとか、そんな想いを抱く意味すらない。それすら私が決められる事では無く、私の人生は私ではない…あの人達のものだった。

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