キケンなアイツとの生活
母と娘
朝起きると、ホントに冬弥さんはずっと傍にいてくれたみたいで、目を覚ましたわたしに目を細めて笑ってくれた。


「冬弥さん、寝た…?」
「あぁ、寝たよ」
「そっか」


それなら、よかった。寝た時はきっとわたしが先だし、起きた時だってわたしがあとだったから…。


「ねぇ愛梨」
「ん…?」
「母さんの朝ごはん食べたくない?」
「えっ?」


千夏さんの、朝ごはんか。健康も考えられた、ごはんなんだよね。千夏さんとも、あの時のまんまだし…。


「うん…食べたいかも」
「よし、じゃあ行こうか」
「うん」


お互い脱衣所で着替えて、出る準備をすると、冬弥さんに呼ばれて振り返る。すると、冬弥さんは両手を広げた。


これは、来いってことだよね…?そう思って、冬弥さんに近付くと、大きなカラダで、わたしのことをギュッと抱きしめられた。


「この勢いで、キスもしとく?」
「…、調子に乗らないで!」
「えー?昨日はあんなに可愛かったのになぁ」
「う、うるさいっ」


自分でも可愛くないって、分かってる…。きっとカワイイと思われるのは、蒼甫の彼女みたいな子のことを言うんだ…。


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