キケンなアイツとの生活
お泊りはホテルで…
水族館を満喫(できたのかな…)した、わたしたちは車に乗り込むと来た道を戻って行く。


「で、どうする?」
「どうする……とは?」
「ホテル。泊まるの?それとも帰るの?」
「………」


車の中では、出発した途端に冬弥さんが、ぶっこんできた。わたしは、あれから5分以上、口を閉ざしている。


このまま、なにも聞かなかったことにして、家に帰れないかな〜?なんて、思ったりもした。けど──


「愛梨、聞かなかったことにされるのはオレもオトコとして、傷付くんだけど?」
「うっ……」


ダメだ…!なかったことには、させてもらえなかった…。だけどそんなわたしに冬弥さんは、わたしの頭の上に大きな手を置いた。そして、ポンポンと撫でる。


「ねぇ、愛梨。愛梨がイヤなら、家に帰ってもいいんだよ。ホテルだって、もう一度泊まりたいと思うなら、泊まりたいと言ってほしい。なにもするなって言うなら、なにもしないよ」
「……ホント?」
「あぁ。そんなにオレのこと、信用できない?」
「うん、できない」
「………」


即答しちゃったけど、信用できないものは、できないよ。すぐキスしてくるし、わたしのベッドには潜り込んでくるし!


「はぁ…そう。じゃあ、分かった。家に帰ろう。これで問題ないでしょ?」
「………」


なんでだろう、そう言われると腹が立つのは…。悲しくなるのは…。寂しくなるのは…。


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